皆さん、最近「AIエージェント」という言葉をよく耳にしませんか?
前回は、「新しいAIがたくさん出てきているけれど、焦らなくて大丈夫ですよ」というお話をさせていただきました。今回はそこから一歩進んで、そもそもAIエージェントってどうやって動いているのか、そして私たち個人がどうやって日々の業務や生活に取り入れていけばいいのかについて、少しだけ掘り下げてみたいと思います。
「なんだか難しそう…」と思うかもしれませんが、なるべく専門用語を使わずに分かりやすくお伝えしますので、安心してお付き合いくださいね。
AIエージェントには「2つのタイプ」があるんです
「自律的に動くAI」と一言で言っても、実は大きく分けて2つのタイプがあるのをご存知でしょうか?
1つ目は、API型と呼ばれるものです。これは、私たちの目に見えないシステムの裏側で、データ通信をして連携するタイプです。「Deep research」や「サービス同士を繋いでワークフローを作るサービス」がこれに当たります。
2つ目は、GUI型と呼ばれるものです。最近話題の「MANUS」などがこれに当たりますね。こちらは裏側ではなく、私たち人間とまったく同じようにパソコンの画面を見て、マウスを動かし、キーボードを叩いて操作してくれます。
やっている動作は違いますが、どちらも目標に向かって自律的に動いてくれる「AIエージェント」の仲間です。でも、ここで一番大事なのは「AIが自律的に動く」という表面上の言葉ではなく、「その自律性を裏側でどうやって実現しているのか」という仕組みを知ることなんです。
「自律的に動いている」の正体とは?
AIが自分で考えて動いているように見える裏側には、必ず「ワークフロー(処理の流れ)」というものが存在します。
ワークフローを簡単にいえば、「仕事の手順」だと思ってもらえれば大丈夫です。
僕たちが命令を出した時に「どう動くのか?」の部分が、ワークフローなわけです。
このワークフローを、プログラマーさんがどれくらいガチガチに決めているか(固定度)、逆にどれくらいAIに丸投げしているか(自由度)によって、AIの動き方は全然違ってきます。
- ワークフローが固定されている場合(自由度が低い): 「Aが起きたらBをしてね」と、手順が完璧に決まっている状態です。ChatGPTやGeminiの「Deep Research(調べてまとめる機能)」なども、実は裏側ではプログラマーさんが作ったしっかりとした流れに沿って動いている、固定度の高いAIエージェントと言えます。
- ワークフローが自由な場合(固定度が低い): MANUSやClaude code、Codexのようなタイプですね。こちらは「画面を見て、目的を達成するために考えて動いてね」というざっくりした指示だけが与えられています。AIがその都度「次は何をクリックしよう?」と確率的に計算して動くので、本当に自分で考えているように見えます。
自由度は全く違いますが、使う側からすれば、自律的に動いているので、AIエージェントになるわけです。
自由度が高くなると、ちょっと不安定になることも
「じゃあ、全部AIに自由に動いてもらった方が便利じゃない?」と思うかもしれません。でも、実はそうとも言い切れないんです。
ここにはシーソーのような関係があって、AIの自由度(柔軟性)を高くすればするほど、不安定さも高まってしまうという特徴があります。
自由度が高いAIは、色々な業務に対応できるというメリットがある一方で、時々嘘をついてしまったり(ハルシネーション)、同じ画面を無限にクリックし続けたりと、予期せぬエラーを起こすこともあります。
逆に、プログラムで手順をガチガチに固定してあげれば、そういったエラーは出にくくなりますが、その分「決まった仕事」しかできなくなってしまいます。
お仕事に合わせて「適材適所」で使い分ける
この特徴を踏まえると、お仕事の内容によってツールを使い分けるのが一番無難な方法だということが見えてきます。
例えば、事務作業やデータ入力のような「1ミリの狂いも許されない定型業務」には、今までのきちんとしたプログラムで作られたシステムやアプリを使うのが安心です。ここに自由なAIエージェントを入れてしまうと、思わぬミスや情報漏洩につながるリスクがあるからです。
逆に、チラシのデザインを考えたり、新しい企画を練ったりするような「毎回答えが変わる非定型業務」には、AIの柔軟性が活きてきます。AIと対話しながら進めたり、自由度の高いAIエージェントに手伝ってもらうのがおすすめです。
今の最前線!個人でできる「ハイブリッド型」のAI活用法
そして実は今、この「定型業務」と「非定型業務」を組み合わせた「ハイブリッド型」という使い方が、個人でできるAI活用の最前線になっていると僕は思っています。
どういうことかというと、今はプログラミングの知識がなくても、ワークフローを作れる便利なサービスがたくさんあります。これらを使って、自分だけの仕組みを作るんです。
例えば、こんなことができます。
- iPhoneに向かって「〇〇のチラシを作る、期日は来週の金曜日」と思い出したらすぐに音声を吹き込みます。
- その音声が裏側でAIに送られ、AIが文字起こしをしてくれます。
- さらにAIが、その文章の中から「タスクの名前」と「期日」だけを賢く抜き出して、プログラムが読み込めるキレイなデータにしてくれます。
- そのデータを、Googleスプレッドシートやタスク管理アプリに自動で入力してくれます。
これって、すごくないですか? AIが登場する前は、私たちがいくら言葉で話しかけても、システムは「どれがタスクでどれが期日か」なんて理解できませんでした。
でも、「曖昧な言葉を整理する」という非定型な部分はAIに任せて、「指定の場所に入力する」という定型業務は従来のシステムに任せる。 この2つを連携させることで、定型業務が信じられないくらい楽で便利になるんです。
実際に僕はこのワークフローを組んでいます。Apple watchに向かって、「んーと、●●●さんのチラシを作成することになって、期日は来月末で、着手日は1週間後かな」と話すだけで、タスク管理アプリにタスクが期日付きで登録されます。
他にも、運転中にApple watchを1回押して、あとは10分ほど話します。すると、僕っぽい文章のブログ記事になって、Googleのスプレットシートに保存されます。
あとは…新しい案件の打ち合わせの最初にスマホのボタンを1回押せば、打ち合わせ終了3分後くらいには、企画書や要件定義書みたいなものを作成して僕に送ってくれたりします(笑)
NotionやGoogleスプレットシートと組み合わせると、自分の仕事環境に合わせて、自動化が捗るわけです。
まとめ:自分だけの仕組みを作るのが一番の武器になる
これから先、ChatGPTやGeminiをはじめ、「MANUS」や「Genspark」のような次世代のサービスがもっと進化すれば、自分でこんな仕組みを作らなくても、すべてAIがやってくれる時代が来るかもしれません。
でも、今の段階では、「自分の業務に合わせて、自分で組んだワークフロー」が一番安定していて確実です。
そして、たぶん今後も、「定型業務」か「非定型業務」だったり、どれくらい安定させたいかによって、自分でワークフローを組んだりすることは、変わらず継続されていくと思うわけです。
なんとなくAIに丸投げして「どういう答えが返ってくるかな?」と待つのではなく、自分が求める結果をきっちり出してくれるように、AIと色々なサービスを組み合わせて自分だけの仕組み(オリジナルのAIエージェント的なもの)を作り上げる。
これこそが、これからの時代を生き抜くための、個人レベルでの最高のAI活用法なんじゃないかなと思います。まずは「こんなことできないかな?」と想像するところから、ぜひ始めてみてくださいね。